誰も知らない栄養ドリンク (2004.11)

栄養ドリンクの世界は奥が深い! 深入りするとちょっと危険な薫りさえするので、いっそう惹かれる。
広義での「栄養ドリンク」は、以下の3つのカテゴリに分ける事ができる。

(1)オロナミンC、リアルゴールド、デカビタCなどの「清涼飲料水」
(2)リゲイン、リボビタンD、エスカップなどの「医薬部外品」
(3)リポビタンゴールド、ゼナ、ユンケル皇帝液などの「医薬品」

このうちコンビニで販売できるものは(1)と(2)まで。(2)は4年くらい前にやっと販売開始した。(3)はマツキヨなどのドラッグストアに行かないと購入できないが、マツキヨ、セイジョー、ダイコクなといった「ドラッグストアのコンビニ化」により、薬局でのみ販売といった制限にどれほどの抑制力があるのか疑問である。
(1)と(2)と(3)の違いの定義は明確に規定されているのだろうが、我々消費者の知る由もない。配合指定成分の含有量だろうが、教えてもらってもすぐにピンと来ないかも知れない。クルマに例えると(1)はヴィッツ、スイフト、デミオなどのコンパクトカー、(2)はアルテッツァ、RX-8、インプレッサWRXなどの国産スポーツ、(3)はベンツSLR、BMW M3、ポルシェカレラなどの量産型輸入スポーツくらいの感覚だろうか。分かり辛いな。
実際のところ(2)は多くの場合、スーツ姿のビジネスマンが常用している事が多いが、(3)に手を出す時は余程体調が芳しくない時などであり、敷居が高い。
不思議なのは、(3)に近づくに従って内容量が減ることである。リアルゴールドの500mlペットボトル「リアルタンク」があると思えば、ゼナF-Uは\1,000-もするのに50mlしか入っていない! しかもご丁寧に金メッキ処理されたパッケージ入りで、ストローまで付属している。配合成分の効果とともに、「特別な物を飲むぞ!」というプラシーボ効果までもしっかり考えられているのである。むしろ(3)クラスのものはもはやパッケージ入りでないと認めてもらえないのだろう。
実際のところ(1)はともかく、リポビタンD、リゲイン、チオビタクラスの(2)ですら、あまり効果を体感できるとは言い難い。
しかしながら、「ゼナ」クラスになるとこれが明確に体感できるようになる。とにかく体が火照る火照る。風邪をひいたときなどは、まず「ゼナ」もしくは「ユンケル」を摂取すると、経験上、効果てき面だ。本気クラスの栄養ドリンクを舐めてはいけない。そしてその「ゼナ」のラインナップもこれが驚くほど多い。( http://www.catalog-taisho.com/brand/sr00201.html ) どれを飲めば良いのよ!

でも、1本\3,000もする栄養ドリンクなぞ気軽に買えるわけもなく、やはり\300前後の、コンビニで買える「医薬部外品」ドリンクに目がいく。
このカテゴリがこれまた非常に面白い!

業界を牛耳っているのは言うまでもなく「リポビタンD」であり、リポDの愛称とともに知名度・シェアでもダントツでNo.1である。売りは「タウリン1000mg」。タウリンって何よ? 何だか知らないけど、1000mgも入ってる。効きそうだ!
ここで競争心をむき出しにするライバル製品だが、「リゲイン」「アリナミンVドリンク」「エスカップ」「チョコラBB」「チオビタ」「アスパラドリンク」の(2)クラスのコンビニ発売にこぎ着けているメジャー銘柄はそれぞれ独自のアイデンティティを主張している。
しかしながら「リポD」以外のドリンク、特に「アスパラ」「チオビタ」「エスカップ」は試供品2本+食品ラップなどといったオマケを付けて叩き売られる事が多い。ヒエラルキーである。

さらに面白いのが、コンビニ発売にこぎ着けない(2)クラスのマイナー銘柄だ。CM無し、知名度無し、では何で目を引くか?様々である。
リポDに真っ向勝負で「タウリン3000mg」を売りにするドリンクがアツい。

今Googleで調査してみたところ、銘柄でいうと「ドリンクファイト3000DX」「ボディーV3000」「ヘルタス」「トッカピンDX」「ダイナミカドリンク3000」「モアビタンD3000」「ビタアルト3000」「ダイワリバイスD3000」「ビタルモン3000」「マージョンD3000」…

おいおいそんなにあるのかよ! 「ボディーV」「モアビタン」「ドリンクファイト」は飲んだことある気がするな…

古くは「スッポン」「マムシ」といったものにインパクトがあったようだが、最近はそういった感じでもなく、2000とか3000などといったクルマの排気量のような「量」での勝負。
まずタウリンありき。タウリン摂取したらどうなるのか売る方も買う方もよく分かってないうちから、リポビタンの3倍の効力なのに\98円! タウリン3000mgで\68円! オトク! といった売り方をするのだ。台湾製CD-Rのバルク販売と似てる。

それでもガチでダルい時はリポビタンDを選ぶ自分。時に気分を変えて「ライト」「WINS」をチョイスしたりする。(とはいえ、栄養ドリンクは週に1本飲むかどうか)
個人的にリポビタンDの勝因は、「昔からある定番感」(CM含め)と、バランスの良い味だと思う。アスパラなんて甘ったるいしねぇ。